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ちょっと考えただけでも、夫婦はさまざまな役目を抱えて生きていることがわかる。
結婚する前は、ただの男女だったはずの二人が、結婚したとたんに、たくさんの役目を果たすようになるわけだ。
具体的にいうなら、妻と夫、嫁と婿、父と母、息子と娘、先生と主婦等々、一組の夫婦が担う役目はあまりにも多い。
これでは、男女でいることを忘れてもしかたがない。
それぞれの役割のバランスがとれているとき、問題は深刻にはならない。
つまり、片方が夫でいるとき、片方が妻でいられれば、それで互いに安定したペアでいられるはずだ。
問題は、夫が男でいるときに、妻のほうが女ではなく母親になっていたり、夫が息子でいるそれでも、かたや妻が女になっていたりするときだ。
なぜか夫婦というのは、すぐにこうしたぐちゃぐちゃの状態に陥ってしまうのだ。
本来あるべき姿のペアの軸線が狂ってしまうと、夫婦はぎくしゃくしてくる。
それでなくても複雑な関係は、複雑を通り越して、収拾のつかない混沌状態となる。
夫婦はため息まじりに肱くのだ。
「ああ、どうしてこんなにわかりにくい状態になっちゃったのだろう。
もうイヤ」まあ、夫婦の夫婦たるゆえんでもあるのだから、ある程度は宿命と思うしかない。
それでもあまりにぐちゃぐちゃになってしまったときは、軸線をそろえるよう努力すべきだ。
とくに、男女の関係を維持したいと願うなら、その努力を怠ってはいザない。
たとえば、夫が男になっているとき、妻は女になるよう心がけるほうがいい。
たとえ、そのとき、母親として忙しくても、主婦としてゴミ捨ての時刻が気になっても、ほんの一瞬でいいから女としての顔を取り戻すようにしたい。
これだけでずいぶん違うはずだ。
もちろん、妻が女の顔を見せているときには、夫にも男でいるよう努力していただきたい。
仕事が気になっていても、「今日、お袋から電話があってさ、明日の休みに顔見せて言っていたぞ」と伝えたくても、ちょっとの問、会社人間である自分、孝行息子である自分を忘れて、男として妻に接してほしい。
「結婚しても男女の間柄を維持していたかったのにさ」とぼやく夫婦は多い。
いちばん機嫌のいい顔は夫に、妻に見てもらいたい。
そんなふうに願っていたはずなのに、なぜかお互いに見せるのは仏頂面ばかり。
「今日こそはと思っていたのだけどさ、結局、ゆうべも喧嘩したのだぜ」「休みの日は恐怖よ。
一緒にいる時聞が長いだけ、暗一嘩の火種が多いからね」などと愚痴る夫や妻に何度出会ったことだろう。
他人事ではない。
私だって、しょっちゅう、「うう、またやってしまった。
言わなくていいことを言ってしまった。
最低の日曜目だった」などと肱いているのだから。
そんなときは、お互いの軸線が狂っていないか、よく考えなくてはと思う。
夫が会社の愚痴ばかりこぼしておもしろくないと感じたときも、「そんな話、聞きたくない」と言ってしまったら、元も子もない。
自分が職場でいやな目にあったときのことを思い出し、同僚になった気持ちで「働いているといろいろあるよね」と慰めてあげよう。
夫はきっとほっとする。
せっかく夫婦になったのだから、互いが互いの力をいちばん効巣的に発揮できるペア関係を保ちたい。
そのためには臨機応変に自分の顔を変えて見せるのも大切なのではないだろうか。
夫の家族とつきあうのはむずかしい。
皆がそう言う。
私もそう思う。
なにしろ、夫の家族とは会ってまだ日が浅い。
結婚してから始まった関係だから、できたてのホヤホヤだ。
自分の家族に比べて、気を使うことが多いのも当然だ。
妻が夫の家族との関係をスムーズにするために、やるべきことは山とある。
人が人を理解するには、それ相応の時間と手聞がかかるものだ。
ね多くの人がその煩雑さに音を上げ、身をすり減らす。
「夫の家族、とくに男姑との関係がうまくこなせません。
いったいどうしたらいいのでしょう?」という悩みを相談する投書は、主婦向け雑誌の定番と言いたくなるほどだ。
何年か前、ある女性雑誌で、読者から寄せられた葉書きやファックスを読み、それに答えるという仕事をしたことがある。
そのとき、夫の家族との関係に疲れたという相談があまりにも多いのにびっくりしてしまった。
乱れた文字で書かれた葉書きを前にすると、悩みの深さを突きつけられたようで、思わず「この人心配だから、電話してみましょう」などと口走り、編集の方にたしなめられたりした。
けれども、私としては、悠長にかまえてなどいられないという気持ちになってしまう。
それでなくても、夫の家族との関係は、喧嘩したら後々たたるとわかっているだけに、悩みが内にこもる傾向がある。
言いたいことを言って、「あとはすっきり」というふうにはいかない。
喧嘩が許されない関係というのは、暗一睡しているよりもやっかいなものだ。
同じ他人でも、相手が夫となると、夫婦喧嘩しながら理解し合っていけるものだ。
言いたいことをわめき、ときにはそこいらの物を投げ合ったりするうちに、思い違いが解決される場合も多い。
夫婦喧嘩というのは本当に消耗するし、できればしたくないものの一つであるが、互いにわかり合おうとする熱意のあらわれでもあるのは確かだ。
それに、しょっちゅうあったとしても、夫は自分で選んだ人である。
夫の家族は自分の意思で選んだわけではない。
結婚と同時に自動的に家族となった人たちだ。
いわばチヨイスを許されなかった相手である。
これでは、妻が夫の家族との関係に悩むのも当然である。
知り合ってまだ日が浅く、喧嘩することさえ許されず、自分の意思で選択したわけでもない人たちを家族として受け入れるのだから。
「ああ、こりゃあ、大変だ」と、ため息をつきたくもなるってものだ。
とくに、これから結婚する人にとって、夫の家族との関係は、考えるだけでげっそりするような困難さを感じさせるものだろう。
けれども、短気は禁物だ。
時間はたっぷりある。
最初からすべてがうまくいくはずがないと自分に言い聞かせ、ゆっくりじっくり事を進めていこう。
それでも夫の家族が好きになれないときは何も夫の家族との間にいえることではない。
たとえば、あなたが誰かを好きになり、彼とつきあい始めたとしよう。
あなたは最初から彼を完璧に理解できるとは期待してはいないだろう。
丹念に、手間暇かけて、相手に近づいていこうとするに違いない。
この姿勢を、夫の家族との関係にも取り入れればいいのだ。
また、選択の余地なく、半ば強制的に家族になった相手とはいえ、お互いの聞の距離を加減結婚は二人の関係をどう変えるかすることはできる。
あなたがどうしても夫の家族になじめないのなら、むりやり仲よくするのはあきらめ、少し距離を置いてみてはいかがだろう。
もちろん、好きになれれば、それに越したことはない。
夫の家族は、あなたに愛する人を授けてくれた人たちだ。
彼らがいなかったら、あなたは彼に出会えなかったわけで、その意味では恩人といってもいいはずだ。
だから「私に夫を与えてくれた人」として感謝できたらお互いに幸福だと思うが、あくまでも理想である。
人問、誰とでも仲よくできるわけではない。
どう努力しても、好きになれない、気が合わないという場合もあろう。
そんなときは、少し距離を置いて、冷静さを保つようにすべきだ。
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